うつ病治療の段階について

焦らず治療をするためにうつの「急性期」と「回復期」を知ろう

うつ病は、ある日を境に「治った!」ということはなく、回復に段階があります。主に「急性期」と「回復期」の二つに分けられますが、それぞれの時期で治療の仕方も異なります。適切な治療のためにも、うつの急性期と回復期について、是非知っておきましょう。

動くのも辛い……死にそう……一番辛い「急性期」

うつ病の始まり、最も心が重く体も動かない、一番辛い時期が「急性期」です。この時期の患者はひたすら悲観的で自己否定を続け、これまで楽しんでいた趣味も楽しめなくなり、様々なことへの意欲を失くします。表情も乏しくなり、布団から起き上がれなくなり、会社や学校を無断で休んだり、食事すらままならなくなる……一般的によく知られているうつ病の症状は、主にこの急性期のものと言えるでしょう。

この時期何より大切なのは、無理をせず心を休養させること。治療の開始時期でもありますが、まずは投薬で脳の機能を補いながら十分な休養を取ることから始まります。投薬の効果が出るのは二週間から一ヶ月前後。周囲の人は焦らず、気長に見守ることが望まれます。急性期の患者は、会話をすることすら疲労します。静かな環境を作り、患者が十分に休めるよう配慮しましょう。気晴らしに外出に誘ったりするのは、急性期にはやめておきましょう。

このように大変症状の重い急性期ですが、自殺のリスクは回復期に比べて低いと言えます。何故ならこの時期は体を動かすのも億劫で、自殺をする気力すらも失われるからで、それは決してよいこととは言い難いでしょう。

復帰に向けて動き出す「回復期」

投薬や休養により憂鬱な気持ちがだいぶ上向き、症状が安定してくるのが回復期です。この時期になると、日によって心の状態に振り幅はありますが、趣味など好きなことに対して「やってみようかな」と意欲が出始めたり、何かやらなくてはとそわそわし始めます。昨日は散歩に出ていたのに今日は布団で寝ている……といった状態に陥りがちですが、それの波を繰り返しながら少しずつ回復に向かっていくのです。

この段階になると、社会復帰のための治療が行われるようになります。カウンセリングや認知療法など、医師との深い対話が必要なものもこの時期に行われます。気晴らしの外出などに誘うのも、回復期に入ってからのことです。

注意すべきは、回復期には自殺のリスクが非常に高まります。それまで動く気力もなかった患者に行動力が生まれ、ふと気持ちが落ちた時に衝動的に行動に移ってしまう可能性があるからです。特に回復期に入ったばかりの頃は注意が必要で、患者の日々の状態に心を配る必要があります。

それぞれの時期に合った治療をしよう

うつ病の治療法として、カウンセリング、認知療法、精神療法など様々な治療法がありますが、それぞに合った治療の時期があります。回復期に行うべき治療を急性期にしてしまうと、患者の心に大きな負担がかかり、余計病状を悪化させることにもなりかねません。また、回復期に必要な治療を先延ばしにし続けると、いつまで経っても社会復帰できず解決の糸口の見えないまま、長い時間を過ごしてしまったということにも。

今この患者がどの時期にあり、どのような治療が必要なのかは、やはり専門家である医師に任せるのが一番です。周囲の人は、急性期の患者を強引にカウンセリングルームなどに連れ出したりしないように。急性期では医師との会話すらままならない場合が多くあり、自分自身の心を対話しながら分析するなど、心に負担がかかるだけです。

急性期と回復期の境目はどう見極める?

急性期と回復期の境は、物事に対する意欲である程度見極めることができます。行動することを辛い、動きたくない以前に動けないなど悲観的に捉えるばかりで、実際体が鉛のように重たく感じるのはまだまだ急性期。「何かやってみたいけど、億劫だな……」と感じられるようになって、ようやく回復期に入ったと言えます。

ですが回復期に入ったばかりの時期はまだまだ心が不安定です。今日は元気だったのに、翌日はまたどん底にいるような気分になってしまうこともあります。回復期に入ったからもうどん底まで落ち込む心配はない!などと過信しすぎず、一歩一歩着実に治療を進めていくことが大切です。