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動物たちとの触れ合いは何故心が癒される?うつとアニマルセラピー

みなさんは『アニマルセラピー』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
まだまだ研究分野ではありますが、動物と触れ合うことでストレスを軽減させ、心を回復させていく手法です。
元々動物が苦手な人には向きませんが、特に動物好きの人には非常に効果的と言えるのではないでしょうか。
特にうつ病などでなくても、愛らしい犬や猫を抱いたとき、『かわいい~!』と心が癒されることはありますよね。
では何故、動物たちとの触れ合いは心に癒しを生むのでしょうか。

(動物達の無垢な瞳は心を癒す)
人は体に対して非常に大きな脳を持ち、本能を理性で押さえ込んだり、複雑な心を持つことができます。
しかしそれ故に人間同士の社会生活の中で疲れることも多いもの。逆に他の動物たちは、理性よりも本能で生きているのです。
本能で生きる動物たちは、自分の欲求に正直で、本能に対して嘘をつきません。
あなたは、犬や猫など身近な動物の目を、じっと見たことがありますか? とても無垢な瞳をしていると思います。その瞳の奥には嘘がない。
疲れ果てた心には、その無心の瞳がとても柔らかく優しいものに映るのです。

(五感で触れ合うからこそ)
生き物を飼っている方ならおわかりでしょうが、動物たちは人と全く違う形、大きさをしていても、命であると実感できる瞬間があります。
違う生き物に触れた時の感触……毛皮や抱いたときの小ささ、体温の高さや鼓動、小さくとも精一杯うごいて餌を食べるさまなどに、そのような瞬間を見出すことができると思います。
また、鳴き声や呼吸、水面を跳ねる音など、耳からも彼らが自分達と違うながらも生き物であることを認識できます。
昔はどこの家にも牛や馬や番犬が飼われ、動物たちは身近な存在でした。
ですが今、犬一匹飼うにも専用のアパートを探す時代。動物達と触れ合う機会は極端に減り、そうしたものを感じることも少なくなって、人は人の社会の中だけで生きることにせいいっぱいになってきました。
そんな中、違う種の命と触れ合うことは、自分が人である以前に生き物の一つであることを無意識に思い起こさせます。
そして普段自分が悩みながら生きているコミュニティが、あくまでも大きな存在の中の小さいひとつにすぎないこと、自分自身も生きていることなどを思い知ることになるでしょう。

(動物と共に生きることで自信を取り戻す)
自力で餌を取らなければならない野生で生きる動物たちと違い、人に飼われている生き物は、その一生を飼った人間に左右されます。
おなかが空けば飼い主に餌をねだり、体を洗うことも飼い主次第。
無垢な瞳の生き物たちにその生涯を委ねられることは、人に『自分は頼られている』『必要とされている』という安心感を生み出します。
そしてそれに一片の打算もない、ただ命を繋ぐために必要とされている事実は、その安心感をさらに大きなものにします。
その安心感はやがて自信につながり、心の回復へと繋がっていきます。

(ペットの世話がリハビリになる?)
布団から起き上がれないほど重度なうつの場合、逆に負担になってしまいますが、ある程度心が回復し社会生活に向けてリハビリを開始した患者には、ペットの世話がよいリハビリとなることがあります。
決まった時間に餌をやる、水を交換する、散歩に連れて行く、トイレを片付けるなど、ペットを飼うにはやるべきことが多くあり、しかもそれらは飼っている人間がしなければペット自身ではできないこと。
そうした世話を任せることで自信が生まれ、また規則正しい習慣を身に着けることができ、社会生活への入り口となりえるのです。
特に犬を飼っている人は毎日の散歩が欠かせないため、外出する訓練にもなります。
一人きりで外に出るより、信頼のおけるペットと一緒に徒歩で行ける範囲のほうが、より安心して外にでることができます。

(動物を介することで人と接しやすくなる)
犬を散歩させていると、見知らぬ飼い主同士で会話になることなどが、ままあります。
人と人とのコミュニケーションが苦手な人でも、動物を介すると会話しやすくなるというのは、アニマルセラピーにおいてもしばしば見られること。
動物たちの無垢な瞳は、こちらの警戒心を無意識に解きほぐし、それが同じ空間にいる人にも働いてより接しやすくなるわけです。
また、動物という共通点があるため、より会話をしやすい状況になるとも言えるでしょう。

(動物と接する時の注意点)
動物たちと接する時は、『彼らも同じ生き物である』という認識を決して忘れてはいけません。
長時間、自分より大きな生き物に無遠慮に触れられているのは彼らにとってストレスとなってしまうため、相手が嫌がらない範囲で触れ合うことが大切です。
また、生き物である以上、ペットとして飼った場合は最後まで責任を持つこと。
自分の不調で世話ができない時、自分の代わりに世話してくれる誰かがいない場合には、自分が回復するまでペットを飼うのは避けておきましょう。
人の気まぐれで世話をされても、ペットは健康に生きていけません。
パートナーとなり癒しをくれる相手であるからこそ、大切に付き合っていきたいものですね。