現代

現代型のうつ病!?一人歩きする『新型うつ病』の言葉の意味って?

新型うつ病……最近よく聞く言葉ですよね。
ですがこの言葉、患者当人にとっては非常にやっかいな言葉と言えます。
え、そういう名前の病気じゃないの? テレビなんかでよく言われてるけど……とお思いのあなた、新型うつ病という言葉に対して大きな勘違いをしているかもしれませんよ?

(新型うつ病は診断名ではない)
まず非常にやっかいなのは、『新型うつ病』というのは正式な病気の診断名ではなく、マスメディアなどによって使われる言葉にすぎません。
ここでまず驚く方がいらっしゃるのではないですか?
また、新型うつ病の定義そのものが非常に曖昧で、イコール非定型うつ病とする人もいれば、いくつかのうつ病を総合した名称であるとする人もおり、言葉だけが独り歩きをしている状態です。
言葉の定義そのものが曖昧なため、従来型のうつ病と新型うつ病を混同し、その結果『うつ病は我侭なだけだ』という偏った考えに辿り着く人も多くおり、大変やっかいな現状であると言えます。
こんな状態でまず混乱するのは患者自身でしょう。
『新型うつ病』という言葉の使用には、慎重になったほうがよいと言わざるを得ません。

(新型うつ病ってどんな状態を指すの?)
何に対して『新型』なのか、と言われれば、一般的によく知られているうつ病に対して、となるでしょう。
これまでのうつ病は気分の落ち込みが病的に激しく、布団から起き上がれなかったり趣味すら楽しむことができなかったりするなどの症状と、自罰的で自分を責めがちな真面目な人がかかるものというのが一般的に知られた部分だと思います。
ですが新型うつの人は、その気分の落ち込みが仕事など特定の状況で発生し、趣味など好きなことは楽しむことができる、他罰的で攻撃性があるなど、これまでのうつ病とは全く異なる特徴を持っています。
しかし、変化に弱かったり、不眠などの身体的症状が現れたりなど、従来型のうつ病と似た特徴も持っています。
一見、嫌なことだけ回避して好きなことには熱心である我侭な人に見えることもありますが、育った環境などが複雑に絡み合った結果そうなってしまったわけで、本人にとってはつらい部分もたくさんあります。
嫌なことを回避しようとするのは自信を感じられないからで、非常に打たれ弱く、他人の評価を必要以上に気にしすぎ、傷つきやすい人であるとも言えるでしょう。
従来型のうつ病と同じく、心療内科や精神科での投薬治療、カウンセリングが必要な状態です。

(『新型うつ病』とされる症状で苦しむ人がいるのも事実)
たとえ正式な診断名ではないとしても、いわゆる『新型うつ病』とされる症状で苦しむ人たちがいるというのもまた事実。
ここで大切なのは、まず患者が苦しんでいるという事実を知ること。
新型うつ病はよく『単なる甘えではないか』『わがまま病』などとレッテルを貼られ、中傷の対象とされやすいのが現状です。
また従来型のうつ病と混同し、『うつ病は甘え』という極端な結論に達する人もいます。
本人にとっても周囲にとっても適切な治療を受けることが望ましい状態であり、まずその事実を知って理解し、医師などに相談するよう本人に助言するなど、気にかけてあげること。
ただ非難するばかりでは患者は心を閉ざし、どんどん攻撃的になったり嫌なことから逃げ出してしまう一方です。

(新型うつ病とイコールとされやすい『非定型うつ病』)
ところで、新型うつ病と同義のものとしてよくあげられるのが『非定型うつ病』です。
新型うつ病という言葉自体が曖昧な状態で、同義のものとすることは非常に危険と言えますが、非定型うつ病は以前からある病気で、従来型のうつ病とは違う特徴を持っています。
まず身体的な症状として、従来型のうつ病では不眠、食欲不振などが現れますが、非定型うつ病では逆に眠りすぎてしまう過眠、食べ過ぎてしまう過食が発生します。
また、気分の落ち込みなどの症状がその場の状況に非常に左右されやすく、気分のいい時は趣味などを楽しむこともできます。
さらに、感情のコントロールが難しく、人付き合いで困難な状況に陥ったり、嫌な記憶が突然蘇るフラッシュバックを起こすこともあるなど、大変苦しい一面も持っています。
非定型うつ病の人はパニック障害を併発していることも多く、電車やエレベーターの中、人ごみの中など逃げられない状況下で、激しい動悸やめまい、手足の震えや言い知れぬ恐怖心が引き起こされ、外出が困難になってしまう人もいます。

新型うつ病はまだまだ曖昧な表現ですが、当事者が大変な苦しみを抱えていることだけは事実です。
それぞれがまず正しい知識を身につけ、安易な気持ちでの決め付けなどは避けていきたいですね。