自殺

見逃さないで大事なサイン~自殺を食い止めるために注目すべきこと

うつ病の人が自殺を望む時、周囲が事前にそれを察することはできないのでしょうか?
突発的な感情に突き動かされた時は難しいですが、そうでない場合は注意深く見ていると、『あれ?』と思う行動が現れるもの。
『話してくれたらよかったのにどうして』『昨日までは元気だったのに……』そうなってしまう前に見極めるのに役立つ、自殺の兆候ともいえる患者の変化をいくつかあげてみたいと思います。

(急に落ち着きや明るさを取り戻す)
うつ病の人は普段落ち込みがちで、何もせずぼんやりしていることが多々あります。
ですが、特に何かあったわけでもないのに、不意に病気にかかる前のような落ち着きや明るさを取り戻し、『突然どうしたの!?』『もしかしていきなり治った?』と周囲に思わせるような時は要注意。
患者の心の中で人生の終着点が決まり、せめて最後くらいはとそのように振舞っている時があります。
それまでろくに動けなかったのに積極的に家事を手伝ったり、家族と会話したがる場合も同様のことが言えるでしょう。
『もうこれで最後だから』の覚悟が、いわゆる最後の力となって患者を動かすのです。

(家族や友人に対する唐突な『ありがとう』)
なんでもない会話の中で、うつ病の患者が突然告げる漠然とした『ありがとう』の言葉。
特別なにかしたわけでもないのに告げられるその言葉には、『今まで』ありがとう、の意味合いが隠されていることがあります。
それは、人生を終える決意をした人が最後に告げる感謝の心。
ここでもやはり『もう最後だから』という気持ちが見え隠れします。

(部屋の片付けや身の回りの整理をはじめる)
それまで毎日布団に篭っていた患者が、急に部屋の片付けや整理を始めた時も、注意深く見守っておいたほうがいいでしょう。
さらに『○○はここにあるから』などと具体的に家族に告げたり、極端に物を減らすような片付け方をしている場合、いわゆる『身辺整理』の可能性もあります。
片付けだけでなく、患者が個人でしている携帯電話やインターネットなどの契約を解約するような行為にも、気をつけておいてください。
うつ病の患者には真面目な人が多く、計画的に自殺を考えた時にできるだけ身近な人に手間をかけさせないようにと、そのような形で身辺整理をすることが多々あります。
また、その際これまで大事にしていたものを理由もなく周囲の人に譲るといった、形見分けのような行動をすることもあり、覚悟の大きさを推し量ることができます。

(思わず漏れる『遠くへ行きたい』)
それまで比較的いつも通りに話していたのに、ふと視線を遠くへやって『どこか遠くに行きたい』などの言葉が出た場合、人生への極端な失望を感じ、自殺の気持ちが高まっている可能性があります。
一般的にもストレスが溜まった時などに、遠くへ旅行へ行きたい気持ちになって、パンフレットなど見てしまうことはありますが、うつ病患者の『遠くに行きたい』は『この世界でないどこか遠くへ行きたい』のことが多いです。
場合によってははっきりと『死にたい』という言葉が出ることもありますが、前者は比喩的な言い方だけに一見わかりづらく、より注意が必要となります。

(気をつけておきたい『微笑みうつ病』)
ところで、うつ病の中には『微笑みうつ病』と呼ばれるものがあります。
本来はつらいのになんでもない振りをして無理やり笑顔を作り、一見病気ではないように見えるうつ病です。
笑って『大丈夫大丈夫』と言いながら始終どことなくつらそうにしている……そんな時は『微笑みうつ病』の可能性があります。
笑顔の下で本人は大変つらい思いをしており、周囲の人にはわかりにくいぶん、症状が重症化することも。
そしてこの『微笑みうつ病』の人は限界ぎりぎりのところまで笑顔でいようとするため、昨日までは普通にしてたのに突然自殺してしまった……ということを引き起こしかねない危険があります。
それを防ぐには、本当に心からの笑顔なのか、人目のないところでは動けなくなったり、表情がなくなっていないかなど、患者本人の様子を普段から細かく見ておくことが重要になってきます。

自殺のサインを見極めるのは難しく、サインの発し方も人によって違うもの。
まず接触し、よく話を聞いて本人の心を把握すること。患者と常に対話することが、何よりその命を救うことに繋がっていくでしょう。