助言

一歩引いて考える~周囲の助言に捕らわれすぎない心のあり方

うつ病になったと周囲に告白した時、話を聞いたあなたの家族や友人、知人たちは、あなたを心配して様々なアドバイスをしてくることがあると思います。
『うつに頑張れは禁句』というのは随分広まりつつありますが、実は不用意なアドバイスが患者にとって危険なものであると知っている人はまだまだ少ないでしょう。
そんな、一歩間違えばうつを悪化させかねない『周囲からのアドバイス』と上手に付き合うには、どうしたらよいのでしょうか。

(まずは『悪意からではない』ことを理解する)
まず大切なのは、自分にとって辛辣なアドバイスとはいえ、相手は決して悪意から言っているわけではないことを知りましょう。
ここで『この人はうつ病のことを理解していない』『こんなに辛いのにどうしてそんなことを言うのだろう』とマイナスの方向に考えてしまっては、その人との間に心のしこりができてしまいます。
『この人はわかってないだけで悪気があるわけじゃないんだ』と思うだけで、捉え方は随分変わってきます。
それに、中にはうつ病患者を知った上での、有効なアドバイスもあるかもしれません。
今は心に余裕がなくても、あなたがある程度回復した時に、その言葉があなたの心をよくするヒントになり得ることもあります。
ただ心が疲れ果て、今この瞬間はそれに耳を傾ける余裕がないだけなのです。

(アドバイスはあくまで助言で『義務』ではない)
うつ病患者へのアドバイスが何故よくないのか、といった理由を考えるときに、まず上げられるのが『患者がそれを義務と思って、できない自分を責めてしまうから』という点があります。
うつ病にかかる人はつい頑張りすぎてしまう傾向にあり、また頑張れない自分はだめな人間だとマイナス思考に陥りやすい状態です。
患者のあなたに心に留めておいて欲しいのは、『アドバイスは義務ではない』ということ。
アドバイスはあくまでも、相手の考え方を基準とした助言にすぎません。絶対にやらねばならない必要はどこにもないのです。
相手がせっかく助言してくれたのに……と、それを実行できない自分を嘆く必要もありません。
たとえアドバイスを受けたからといって、それをするしないの選択権はあなた自身の手にあるのです。

(信頼する人からのものこそ一歩引いて考える)
場合によっては、あなたが心から信頼する人から、うつ病についてのアドバイスをされることがあるかもしれません。
ですが、信頼する人だからこそ一歩引いた目で見ることが肝心です。
信頼する人の言うことだと、どうしても心の中で『この人の言うことなら』という補正がかかり、仮にその人のアドバイスが間違っていたとしても信じて実行しようとしてしまうことがあるからです。
例えば、『薬は中毒になるから飲まないほうがいい』とアドバイスされ、それを真に受けて医師に相談もなく勝手に薬を止めてしまい、急な断薬によって重い副作用が引き起こされることなども考えられます。
あなたの信じるその人は、あなたを大切に思うからこそアドバイスをしてくれるのでしょうが、だからこそ一歩引いた目で見ましょう。

(情報の取捨選択をする)
あなたがもらったたくさんのアドバイスは、全て正しいこととは限りません。
助言にはどうしてもその人の主観が入りますし、アドバイスをくれた人が間違った情報を正しいものだと勘違いしている可能性もあります。
もし、実行してみようかなと思えるアドバイスがあったとしても、まずそれをしても治療にマイナスの影響がないか、自分自身で情報を吟味して取捨選択しましょう。
薬や治療そのものに関するアドバイスなら、医師に相談してみてもいいと思います。
そして何度も言いますが、人からもらったアドバイスは義務ではないため、必ずそれを実行する必要もありません。
まずはあなたの体調を第一に。

(医師とはよく話し合う)
あなたにアドバイスをくれる中で最も信頼を置いていいのは、主治医だと思います。
医師はそれまでの治療の経験や知識などから、適切な助言をしてくれますし、薬の服薬などについては医師に従わないと副作用などで大変なことが起きることもあるでしょう。
ですが、これは医師の言いなりになれという訳ではありません。
疑問、納得できないことがあれば、あなたが理解し、納得できるまでとことん医師と話し合いをしてみましょう。
それを放棄してただ鵜呑みにするだけでは、あなたの治療に重大な支障をきたすことにもなりかねません。
特に服薬の量などに関しては、処方された薬をただ飲むだけでなく、自分でも薬のことを調べてみるくらいのことをしてもいいくらいです。
十分に話し合いをしながら医師と患者が二人三脚で行うのが、適切な治療と言えるでしょう。