うつの理由は心の中に?考え方の『癖』がうつを連れてくる

家族の問題、会社の問題、頑張りすぎ……うつ病の原因としては様々なものが挙げられます。
ここでひとつ注目したいのは、それらの原因がたとえあったとしても、誰もがうつ病になるわけではないという点です。
うつ病になる人は、ならない人と何が違っているのでしょうか?

(とてもやっかいな『考え方の癖』)
人はそれぞれ、生まれ育った環境などで培われた『考え方の癖』というものを持っています。
それは自分でも無意識の部分が多いのですが、例えば同じ事柄を前にした時でも『よし頑張ろう』と思える人もいれば、『失敗したらどうしよう……』と思ってしまう人がいる、この時の前向きさと後ろ向きさが該当します。
この考え方の癖は、自分でも気付かないうちに身についていることが多いので、それに気が付くことは大変難しいのです。
ですがそのことに気がつくかどうかで、うつ病の治療は大きく明暗が分かれると言ってもいいでしょう。
『自分は物事を何でも後ろ向きに捉えてしまいがち』『どうしても悪い方に考えてしまうけど、実際はそんなに悪いことは起こらないんだ』そのような気付きは、マイナス思考に偏りがちな『考え方の癖』を改善するために非常に重要です。
自分の考え方のまずい部分を知ることができれば、相応の治療でそこを変えていけば良いわけですが、自分の思考のパターンを把握できていなければ何をどう変えていいのかすらわかりません。
まず、自分の考え方の癖を知ることがうつ病治療にはとても必要なことと言えます。

(考え方の『癖』を変えるのは並大抵のことではない)
自分の歪んだ判断基準に気がついてそれを修正できるかはその人次第ですが、それは並大抵のことではありません。
まず『自分の考え方がおかしい』と気がつくことそのものが難しいのです。
仮に気がついたとしても、それをプラスの方向に修正していくのは大変時間と根気が必要な作業ですし、一人でやろうとするのは困難です。
人は思ったより自分自身のことを客観的に見ることができないもの。
特に長年染み付いた考え方の是非などは、自分ではそれが当たり前と思っているわけですから、どの部分をどう修正していくべきなのか、自分では判断出来かねるところも多いのです。
医師や専門家などの手を借りて、少しずつ行っていくのがよいでしょう。

(一歩止まって別の考え方がないか自分に問いかける)
何かと後ろ向きな考え方をしがちな人は、落ち込む前に立ち止まって、『もっと別の考え方はないだろうか』と思い返してみましょう。
自分一人の判断基準では具体的な他の考え方を導くのは難しいでしょうから、例えば身近な人たちを想像して、『こんな時Aさんならどうするだろう』『Bさんはこんなふうに考えるのでは?』などと、他人目線の基準から見つめなおしてみると良いかと思います。
実際に聞くことができるのなら、『こういうことがあったとき、あなたならどう思う?』と聞いてみるのもいいかもしれません。
その考えはあくまでも参考意見ですから、相手の意見を聞いて『どうして自分はこんな風にしか思えないんだろう……やっぱり自分はだめな人間だ』などと不必要に落ち込まないこと。
ですが『どうして』と疑問を持つことは決して悪いことではありません。
そこから自分の考え方の基準を作ったものを探っていくことができるからです。
気持ちが落ちている時は非常に難しいことですが、自分の心と一旦距離を置いて、外側から眺めてみることも大切なことなのです。

(育った環境が『心』をつくる)
ところでこの考え方の癖、いったいどのように身に付いていくのでしょう。
最も大きい要因は、育った環境にあると言っても良いでしょう。
両親からの愛情を一身に受け、褒められて育った人は自信に満ち溢れ、前向きな考え方を自然とすることができます。しかし育児放棄や虐待、過干渉など問題のある育ち方をした人は心にトラウマを抱え、後ろ向きな考え方になりがちなもの。
『大人になってからまで親のせいにするな』と言う人も中にはいますが、大人になってからの判断基準や考え方の基準は、子供の頃に形成されて無意識の部分に定着するので、育った環境の影響は非常に大きいと言えます。
何をやっても褒められず、叱られてばかりだったり『もっと頑張りなさい』としか言われずに育った人は、褒められ方を知らない、自分は努力が足りずに欠落しているなどと自信を持てない大人になります。
『親の言うとおりにしなさい』と過剰に干渉され、親の望みどおりにしないと叱られる環境で育った人は、自分の基準で物事を判断することを恐れ、自信もなく、相手の顔色を伺う大人になります。
虐待とは何も体に傷をつけることだけを指す訳ではありません。相手の心を長期間にわたって傷つけることだって虐待です。
辛い作業ではありますが、あなた自身とこれまでの家族の関係について、改めて振り返ってみてください。
あなたは幼い頃、どのような扱いを受けて成長してきましたか?
そこに、あなたが今抱えている心の問題を引き起こす、歪んだ考え方の『癖』に気が付くヒントがあるかもしれません。