認知療法

うつになりやすい考え方の癖から変える!認知療法ってどんなもの?

うつ病になりやすい人、またうつ病の患者は、何事も物事を悲観的に捉えがちな傾向にあります。
しかもそのことに自分で気が付いていないことが多く、訳もなく悲しくなったり些細なことが重大な悲劇のように感じられて、『どうして……』とひたすら自分を責めてしまうこともよくあること。
そのような悲観的な考え方を変える方法というのは、ないのでしょうか。

(人はみんな一人ひとり違った眼鏡で世界を見ている)
AさんとBさんが、全く同じ体験をしたとします。そこで二人が持つ感想が全く同じものになるかと言えば、そうだとは限りません。
場合によっては似たような、もしくは全く違った感想を持つことだってあります。
当たり前すぎて普段は忘れがちなのですが、人はみんなそれぞれが違う眼鏡を通して世界を見ているのです。
だからこそ考え方や受け止め方の違いがあり、個性もあるわけです。
個人個人の眼鏡を通して世界を見ることを、心理学上では『認知』と呼びますが、うつ病の人はその『認知』が悲観的に歪んでしまっている状態。
そこを改善すれば、今現在のうつ病の治療にも効果がありますし、特にうつ病の再発抑制につながることでしょう。

(自分の心を客観的に見直すことでゆがみに気付く『認知療法』)
人は誰でも生きていくうちに様々な困難にぶつかりますが、その時にどう行動するかは自分の心にある判断基準が決めること。
ですがその判断基準である、物事を受け止める心がマイナス方向に偏っていると、どうしてもマイナス方向に歪んだ思考になってしまい、結果悲観的になるわけです。
それを見つめなおし、できるだけプラスの方向に修正していくのが『認知療法』と呼ばれる心理療法の一種です。
簡単に言うと、『うつになりやすい考え方を改善しましょう』という治療法です。
認知のゆがみといっても、決して患者の人格や生き方を全否定するわけではなく、考え方の軸が自分を辛くするほうにずれているから、もう少し楽になれるほうにずらしていきましょう、というだけのこと。
体だって、例えば背骨が歪んでいればあちこちによくない影響を及ぼします。それを整体などでまっすぐにするようなものだと受け止めてもらえればいいと思います。

(認知療法ってどんなことをするの?)
認知療法では、まず自分の考え方のパターンを知ることが必要になってきます。
日常暮らしていて様々な出来事に出会った時に浮かんでくる、個人個人の独自の考えを『自動思考』と呼びますが、まずはその自動思考を上げていき、そこにどのような『認知のゆがみ』が存在するかを詳しく分析していきます。
『自動思考』は日常の中であなたにとって当たり前の考えで、特に深く意識したり心に留めているわけではないので、はじめのうちは上げていくのが難しいかもしれません。
できれば、日常の中で何か起こった時に自分はどう思ったのか、簡単なメモに残すなどしておくと、進めやすくなります。
メモを残すときは『いつ、どんなことが起きたのか』『その時どんな状況だったのか』『どんな感じがしたのか』『どんな考えが心に浮かんだのか』の四点を残しておくといいでしょう。
『どんな感じがしたのか』については、例えばその状況にイライラした、悲しくなった、など感じた感情について残し、『どんな考えが心に浮かんだのか』はより具体的な考えを書いていくといいでしょう。
『昨夜、手が滑って布団にコーヒーをこぼした』ということが起こり、『家族に呼ばれて焦っていた』状況で、『イライラした』と感じ、『こんな初歩的なミスをするなんて自分はなんてバカなんだ』と思った、などといった具合です。
ここから『何故家族に呼ばれて焦ったのか』『初歩的なミスをするのはバカなことなのか』などと、エピソードをより深く掘り下げて認知のゆがみを見つけていくのです。
自分で認知療法のできる本などもありますが、認知療法は心の奥深くに抱えた闇の部分まで探っていくことになるので、病気の人が自己判断でやっているとやり方を間違い、余計不安になってしまうこともあります。
本などを参考にしてやる場合も、医師やカウンセラーなど専門のスタッフの指導のもと、確実に少しずつやっていくことが大切です。

(認知療法はある程度心が回復してから)
認知療法を行う時は、うつ病がある程度回復し、社会復帰に向けたリハビリの段階で行っていくことが大事です。
というのも自分の思考を振り返って見つめなおす作業は、心が弱っている時には相当の負担となるからです。
また、認知療法の過程で思わぬ自分の心の闇に触れることだってあり得ます。
人と口をきくのもつらいような状態で、心の中を掘り返すようなことをしては、ただただ疲れるばかり。何事にも向いている時期というものがありますが、認知療法は特に行う時期を選んだほうがよいと言えます。
とはいえある程度意欲が回復し、患者本人に治りたいという意思が強くあるのであれば、認知療法は大変有効な治療法。
しかし中には向かない人もいるので、そのあたりは医師としっかり話をしながら治療の選択をしていきましょう。