ペット

癒しになるけど相手は命~うつの治療にペットを飼うための注意点

アニマルセラピーという言葉があるように、動物の存在は人の心を癒します。
うつ病になった時、ペットに心癒されたという人は決して少なくありませんが、うつ病の治療のためにペットを飼おう、と思い立ったあなたはちょっと待ってください。
人間側の勝手な都合で、ペットにストレスを与えていませんか……?

(うつ病治療のためにペットを飼い始めるか否か)
動物とのふれあいは人の心を癒します。
ですが、うつ病治療のために新たにペットを飼い始めることについては、賛否が分かれるところ。
患者本人がペットに深く関わり、毎日の世話を怠らずできなければ、病気治療のために飼うというのは控えたほうがいいかもしれません。
何しろペットは生き物であって、人間の気まぐれで世話を止めると弱って死んでしまいます。
また、世話は家族まかせで患者本人はペットと触れ合うだけだという場合、家族への負担がかかりますし、自分で世話をしないのなら動物園のふれあい広場に行ったほうがまだいいでしょう。
相手は小さく言葉を話すこともできませんが、立派な命。
そのことを改めてよくよく考えてから、決断を下して頂きたいものです。

(ペットを飼うだけの環境は整ってますか?)
ペットは玩具やぬいぐるみではないのですから、当然彼らも食事をします。時には病気にだってかかります。
あなたはその餌代や病院代などをきちんと捻出できるだけの余裕がありますか?
ペットを飼うというのは思ったよりもお金がかかります。特に病院は、ペットには国家制度の健康保険がないため、人間よりも高額な治療費になってしまうこともしばしば。
また、家族にアレルギーの人やペットに対する理解のない人がいませんか? ペットを飼うとなった場合、同居する家族のことも考えなくてはなりません。
一人暮らしなら気楽に飼える……とお思いのあなた、一人暮らしでもし体調を崩した時、ペットの世話は誰がするのでしょう。
特にうつ病はその日よって気分が違い、状態が悪いと布団から出ることもできないことだってあります。
自分は食事する気にすらなれなくてもペットはお腹をすかせます。
そんな時、世話が億劫になって投げ出したりはしませんか……?
厳しいことを言うようですが、生き物の命を預かるというのはそれだけ重大なことなのです。

(相手は生き物、そのことだけは忘れずに)
何度も繰り返しますが、決して忘れてはならないのは相手は生き物だということ。
ペットだって不潔な環境に置かれたり飢えたりすればストレスが溜まります。
そのことを十分に理解していないと、最悪ペットが死んでしまうことだってあります。
また、きちんと愛情を注いで世話をすることでお互いにコミュニケーションが生まれ、うつ病の治療にも効果があるというもの。
普段は家族に任せきりで、気の向いたときだけ世話に参加するような状態では、大きな効果があるとは言いがたいでしょう。

(ペットの飼育を難しく考えるとノイローゼに!?)
逆に、ペットをきちんと飼おうとしすぎて、より症状が悪化してしまうことだってあります。
真面目な人の多いうつ病患者は、事前に本を読んだり情報をリサーチして、『ペットの飼育とはこうあるべき』という像を先に作ってしまうことがあります。
しかしながらペットにもそれぞれ個性があります。本に『大人しい種類です』と書かれていてもやんちゃだったり、その逆も然り。
そんな時、本で見たことと現実のギャップに戸惑い、『こんなにやんちゃなのは、自分のしつけがよくないせいじゃないか』などと思って、一種の育児ノイローゼのような状態に陥ることがあります。
ペットを飼うとき事前の情報を得て勉強することは大切ですが、それに振り回されすぎるとかえって毒になってしまいます。
動物にも個性があることを念頭に、あまり固く考えすぎないようにしましょう。

(ペットロスにご用心!ペットを失って起こる『うつ』)
うつ病の人が特に気をつけたいのは、大切なペットが亡くなってしまった時。
特に家族同然に長年可愛がっていた場合などは、注意が必要です。
『死』というのは大変大きな喪失感を心にもたらします。それが大切な相手であればあるほど喪失感は大きく、そこから立ち直るには健康な人でも時間を要します。
その壮絶な喪失感からうつ病のような症状を起こすことがあり、それを『ペットロス症候群』と呼びます。
ペットロスは放っておくとうつ病に発展したり、うつ病の人がペットロスになると症状がとても重くなったり、非常に注意すべき状態に陥ることがあるのです。
ペットとして飼育されるような生き物は、ほとんどの場合人間よりも寿命が短いもの。
最後を看取る覚悟を決めて、ある程度割り切る心を持つことも大切です。