老人性うつ病について

認知症と思ったらうつだった!?老人性うつ病を知ろう

加齢は、人の体に様々な影響を及ぼします。手足や腰など身体機能の衰えはもちろん、物忘れなども発生します。加齢による病的な物忘れが発生した場合、多くの人がそこでまず疑うのは「認知症」でしょう。ですがその判断、ちょっと待ってください。「老人性うつ病」をあなたはご存知でしょうか。

意外と多い高齢者のストレス

仕事や子育てからも引退し、悠々自適に暮らしているように感じられる高齢者ですが、若い人にはないたくさんのストレスを抱えています。まず上げられるのが加齢による病気や身体の衰えです。思うように体が動かせない、動かすたびに痛みがある、薬を手放せない持病を抱えるなどといった健康の障壁は、体への負担だけでなく重大なストレスとなって心にも影響を及ぼします。心は若くあったとしても、体まではなかなかそうはいきません。

また、自分が年を重ねるごとに周囲の人も当然年を取っていくわけで、その先には「死別」という現実もあります。若い頃から親しくしていた友人や長年連れ添った伴侶との突然の別れは、深い喪失感と悲しみ、次は自分かもしれないという不安を生みます。人の死は、高齢になってもなかなか簡単に割り切ることはできません。

定年による退職、または子育てからの引退も実はストレスを生み出すきっかけとなります。それまで必要とされていた自分の存在の置き所を見失い、突然すべきことを失って呆然としてしまい、不安に陥る。特にそれまで趣味も持たず、ひたすら仕事や子育てに専念してきたような人はそんな不安を抱えやすいのです。

老人性うつ病の特徴

老人性うつ病は、気分の落ち込みなど一般的なうつ病の特徴はもちろん、その中でも一部の症状が特に顕著に現れることがあります。まず上げられるのが「健忘」と呼ばれる物忘れ。さらにぼんやりしていることが増え、それらの症状が認知症に大変似ているため、認知症との区別が非常につきにくいのも特徴です。また、頭痛など身体的な症状を多く訴え、薬による副作用が強めなのも老人性うつ病の特徴と言えるでしょう。

認知症と間違われやすい老人性うつ病ですが、無気力になる、死を望む、これまで好きだったものに興味が持てないなどのうつ病の症状も現れるため、日頃から高齢者とコミュニケーションを取りその変化に敏感でいることが大切です。

老人性うつ病患者へのサポート

老人性うつ病の患者には、服薬やストレス解消などの面でサポートが必要といえます。何しろ物忘れの症状が強く出るため、服薬治療の際に薬の管理が本人だけでは困難なことが多いのです。また高齢になるとうつ病だけでなく、さまざまな体の病気を併発することも考えられ、それらの薬との飲み合わせも考慮すると服薬管理の手助けは非常に重要です。

さらに、布団にこもりきりになるとそのまま寝たきりになってしまうことも大いに考えられるため、できるだけ布団から身を起こすよう促すなどの声掛けも大切です。高齢者は孤独を抱えがちなので、話し相手になるだけでもかなり違います。

リハビリとしての散歩など外出の際は付き添いをしたり、布団から起き上がれない時はせめてカーテンと窓を開け、外の光と風を部屋に入れるなどのサポートも必要となってくるでしょう。

老人性うつ病にならないためには

では老人性うつ病を防ぐためには何を心がけたら良いのでしょうか。まずは、高齢者を孤独にしないこと。近しい人との死別や子育ての終了、退職などで大変孤独を抱えやすい状況にある高齢者は、その孤独から不安などマイナスな方向に心が傾いていくことがあります。できるだけ会話をし、食卓を共にするなどして、その孤独感を少しでも拭うことが老人性うつ病を防ぐ第一歩です。

高齢者とよく接するようにしておけば、些細な変化も見落とすことなく気がつくこともできるでしょう。老人性うつ病はできるだけ早く専門医の診断を受けることが望まれますが、先に述べたようにその診断は非常に困難です。家族の日頃の観察が病気を診断するための重要な材料となることだってあるのです。

また、園芸や散歩など共に趣味を楽しむ、家庭の中で負担にならない仕事を任せるなど、人生の楽しみを共有したり目的や役割を持ってもらうことで、自分の存在意義や生きる楽しみを感じてもらうことも、老人性うつ病を防ぐ上で大切な一歩となるでしょう。