刺激

『何もしない』は腐るだけ!耳からの情報で心を優しく刺激する

うつ病になった時、『何もせずに休養することが大事』とはよく言われます。
ですが本当にずっと『何もしない』ままでもいいのでしょうか。
うつ病の回復には段階があり、始めのうちは動けないほど辛いですが、治療によって少しずつ心の状態が回復すれば、それに伴って徐々にできることも増えていきます。
そうなった時にも『何もしない』ままでいると、せっかく回復してきた意欲の火種を消してしまうことにもなります。
うつの回復に合わせて、少しずつ心に刺激を与えていくことだってとても大切なことなんです。

(ただずっと『何もしない』だけでは余計心が腐るだけ)
『寝たきり』という状態は、人の心にどんな影響を与えるのでしょう。
特に何の刺激も受けず、ただ布団の中に篭っているという状態は、確かに体は休まりますが心は必ずしもそうとは限りません。
うつ病の重篤な期間は脳内物質のバランスが狂い、脳そのものが休養を要求するので、黙って寝ていることで心安らかになることはできます。
しかしそれが10回復し、20回復し……といった具合に少しずつ回復してきた時、何の刺激もないまま横たわっていては、せっかく回復してきた心を逆に潰してしまうことがあります。
刺激を受けなければ人の心は動かなくなり、そのままどんどん腐っていってしまうからです。
『インプットとアウトプット』という言葉をご存知でしょうか。
外側から様々なものを取り入れるのがインプット、自分の中にあるものを外に出すのがアウトプットですが、外側からの様々な刺激を受け入れることで心に動きが生まれ、例えば誰かとのおしゃべりなどでいろんなものを外に出せるようになるわけです。
心というのは動かさないと錆付いていってしまうもの。
ただし、うつ病の状態は大変デリケートですので、心に与える刺激の選択は注意深く行う必要があります。

(視覚の刺激は強すぎる)
手っ取り早く情報を入手できるといえばテレビですが、それまで寝たきりだったうつ病患者にいきなりさあテレビを見ろというのはやめたほうが良いでしょう。
というのは、テレビは目で見る画像の情報と耳で聞く音声の情報、二つをいっぺんに受け入れなくてはなりませんが、特に視覚から受ける刺激というのは思いのほか強烈で、より脳が疲れやすいからです。
普段さほど意識しないですが、『目で見る』ということは一度にたくさんの情報を脳に受け入れることになります。
物の色、形、明るさ、動き……それらがいっぺんに脳の中に情報として入ってくるわけですから、脳内物質のバランスが崩れ疲弊しやすいうつ病患者にとって、刺激が強すぎることが多々あります。

(耳から優しく刺激を与える)
うつ病患者にまずおすすめなのは、ラジオや音楽といった耳から得る刺激です。
入ってくる情報を限定的にすることができますし、音声だけの情報なので刺激がより優しくソフトです。
イヤホンをして横になればそれ以外の無駄な音を排除でき、一度に多くの情報が入ると混乱しがちなうつ病患者にとって向いていると言えるでしょう。
黙って聞き流せるラジオや、歌詞の入っていないサウンドトラックなどが向いていますが、自分の好きな音楽でしたらなんでも構わないと思います。
寝たままでも心を優しく刺激できる音楽は、大変お勧めしたいものです。

(音楽で得るインプットとアウトプットで心を動かす)
元気だった頃によく聞いていた、自分の好きな音楽。それらを聞いていると昔を懐かしく思い出したり、つい口ずさんでしまいたくなったりすることもあるでしょう。
音楽を聴くことで、人はとても自然な形でインプットとアウトプットをしています。
それはほどよく心を動かし、よい刺激となります。
特に外出しなくても、横になった布団の中でも、音楽を聴くことで心が刺激され、何の刺激も受けずに腐っていくのを防ぐことができるのです。
うつ病の人が布団から起きられるようになったからといって、さあ今すぐ昔の趣味をまた始めてみましょう、というわけにはいきません。
少しずつ少しずつ、段階を踏んでいくことが大切で、『趣味をしたい』と思える心の状態まで持っていくのに、音楽による心への刺激はよい手助けとなることでしょう。