疾患

体の不調が心の不調へ~うつ病を引き起こしやすい身体疾患

よく知られた言葉に『病は気から』というものがあります。
体と心の健康には密接な繋がりがあると、昔から考えられていたのでしょうね。
実を言うとうつ病には『気は病から』とでも言うような、身体疾患から引き起こされるものもあるんです。

(病気は何より重いストレス!)
もしもあなたが、今後一生治療を続けなくてはならない病気にかかったとしたらどうでしょう。
仕事は? 医療費は? 何よりこれからずっと病院に通い続け、治るあてのない病気と付き合い、薬を飲み続けなければならない……そんなことになったらひどく重圧を感じるでしょうし、苦痛にも思うでしょう。
病気というのはそれだけで、人の心に翳りを落とすもの。
治療をするにも身体的な苦痛を伴うものが多く、例えば血液検査ひとつとっても痛い思いをしなくてはなりません。
それがずっと続くとなれば、心は重く、次第にネガティブに傾いていくことだってあるのです。
体の病気を治療している患者の心をプラスに維持し、うつにならないようケアすることは非常に大切なことです。

(うつ病になりやすい体の病気)
病気はそれだけで十分に重いストレスとなり得ますが、とくにうつ病になりやすいものがいくつか確認されています。
がん、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの脳血管障害など、一生治療が必要だったり命に関わるような重い病気が主なものです。
がんは早期発見し早い段階で手術すれば治る病気ではありますが、再発の恐れがあったり発見が遅れたりすることも多く、また治療にも大変な苦痛を伴うもの。
金銭的な不安や抗がん剤の副作用への不安など、患者の心にかかるストレスは相当なものと言えます。
特に末期がんのような重篤な場合、死と向かい合う現実は想像を絶するほどに辛いことでしょう。
がん患者の心のケアは治療の中でも重要な課題と言えます。
糖尿病の場合は『一生付き合う病気』である重圧とは別に、インスリンの分泌に異常が発生していることも原因ではないかとされています。
糖尿病の人は血糖値のコントロールが命に関わってきますが、糖尿病患者がうつになると無気力状態に陥ることで、その管理が非常に難しくなってしまうことが多々あります。
うつ病になると体が重くなり、寝たきりになることはよくあることですが、定期的な注射やきっちりとした食事管理などが必要な糖尿病患者にとって、それは死活問題となります。
心筋梗塞はいつ起こるのか予想できない発作の不安を常に抱え、脳卒中などは後遺症として残った麻痺や言語障害などに絶望を感じ、いずれもうつに陥ってしまうことが多くあるのです。
またその他にもパーキンソン病やてんかん、HIV感染なども、うつ病を引き起こす人が多いと言われています。

(身体疾患の薬がうつを引き起こすこともある)
身体疾患の治療のために服用している薬の副作用としてうつ病のような症状が引き起こされることもあります。
薬によって引き起こされるうつ病を『薬剤惹起性うつ病』と呼び、血圧を下げるための降圧剤の一部や、ステロイド剤などが原因薬として該当します。
中でもよく知られているのが『インターフェロン』という、ウイルス性肝炎の治療に使われる薬で、うつを引き起こす確率が非常に高いと言われています。
これらの薬を服用する時は、心の状態に変化はないか、不眠などの症状は出ていないかなど患者の様子を注意深く観察して、異変があればすぐ医師に相談する体制を整えておきたいものです。

(身体疾患の人がうつ病になった時の弊害)
身体疾患を抱える人がうつ病になった場合、どのような困った事態になるのでしょうか。
まず、生きたいという気力が低下し治療に対して後ろ向きになってしまう点があります。
意欲的に治療に取り組むことができず、病状がどんどん悪化していくことも。そのせいで治療が長引き、余計負担がかかってしまうことだってあります。
また、うつ病になると不眠や食欲不振などの身体症状も伴います。
ただでさえ体の病気で辛いのに、そこにうつ病の症状が重く圧し掛かり、患者は二重の苦しみを味わうことになります。
うつ病の身体症状のせいで十分睡眠が取れなかったり、食事の量が減ったりすることでも、症状がよくない方向へ行ってしまう可能性も非常に高いです。
体と心、どちらにも病気を抱えてしまう苦しさは当人にしかわかりませんが、それをいかに軽減していくか、また薬が原因である場合は速やかに服薬の内容を見直すなど、迅速な対処が必要と言えるでしょう。