多剤

あなたのお薬多すぎませんか?陥りやすい多剤処方に注意!

心の病気で通院投薬と聞いて、まず真っ先に『薬漬けになりそう』と危惧する方は少なくないと思います。
事実、このような印象が蔓延するほど、日本の精神科治療では薬を何種類もたくさん出される『多剤大量処方』の現実があり、近年になってそれは精神医療の問題点として、注目されるようになってきました。
うつ病で通院するあなた、家族が通院しているあなた、病院からの処方は適切ですか?
この機会に一度、薬の処方について振り返って考えてみてください。

(多剤大量処方って?)
その名の通り多種大量の薬を処方されることで、主に精神科での処方を指します。
抗うつ剤を複数。それと効果が重なる抗精神薬をさらに。まさに『薬漬け』の印象です。
逆に、同一種類の薬は一種類しか処方しないことを『単剤処方』といいます。
抗うつ剤、抗精神病薬、抗不安剤など、それぞれにつきひとつの薬が処方される場合ですね。
精神科治療において、特に抗うつ剤や抗精神病薬は、海外ではすでに単剤処方が推奨されています。
しかし日本では今も多剤多量処方になりがちな傾向があることを、まず知っておきましょう。

(どんな流れで多剤大量処方になってしまうのか)
抗うつ剤や抗精神病薬などは、人によって合う合わないの差が非常に激しく、そのため似たような効果をもつ薬が非常にたくさんあります。
AさんとBさんがうつ病の同じ症状で苦しんでいたとして、Aさんに効いた薬がBさんには効かない、または副作用がひどく出てしまうなんてことも。
合う合わないの差が激しいからこそ、たくさんの種類の薬の中から選んでいくわけですが、薬が合わずに症状が改善しなかった場合、別の薬に変えるのではなく別の薬を増やす医師がいます。
これがだめならこっちも飲んでみましょう、これも追加してみましょう……そして現れた副作用に対しても、副作用止めと称して薬が処方されていくことに。
その結果、気がついたら両手いっぱいの薬を一日に飲んでいた、なんてこともあるのです。

(多剤大量処方のデメリット)
多剤多量処方は、そのデメリットがあまりにも多いと言わざるを得ません。
まず薬の種類が多すぎて、うつ病などの患者本人では薬の管理が難しくなってしまうこと。
思考能力や記憶力が低下している時に、どの時間にどの薬をどれだけ飲んだか、薬の種類が増えるほどに覚えておくのは困難です。
また、副作用が出た場合、どの薬が原因で副作用が起こったのか、特定するのが非常に難しくなります。
特に似たような効果で似たような副作用が出る薬を複数出されていると、原因薬を特定するより副作用止めの薬を処方したほうが早いという判断で、また薬が増えてしまうループを起こしてしまいます。
薬の種類が多い場合は副作用に次ぐ副作用……で、服薬以前よりもつらい思いをする可能性も否定できません。
他にも、本来は不要な薬代を長期間支払うことになるなど、金銭面でのデメリットもあります。

(『薬』に対して賢くなろう)
ここまで読んで『そんな……病院に行くの怖い』と思った方もいるでしょう。
ですが必要以上に恐れることはありません。
自分が処方されている薬についてよく知り、副作用などについて自分の体を観察し、『薬』に対して賢くなればいいんです。
病院から出される大量の薬をただ受け取って、こんなに飲んで大丈夫かな……と不安に思うだけでなく、不安に思ったらまずそこでそれを医師にぶつけること。
どの薬にどんな効果があって、何故それを出されているのか、恐れずに聞くこと。
全て医師任せにするのではなく、自分からも病気や薬について知ろうという意志を持ちましょう。

(『減薬したい』意志ははっきり伝えよう)
一度大量に処方された薬を減らすには時間がかかります。
特に一部の抗うつ剤など、急激に止めると副作用が起きてしまうものに関しては、時間をかけて少しずつ減らしていかなくてはいけません。
時間がかかるのならなおのこと、もしあなたが『飲んでいる薬を整理して量を減らしたい』と思うなら、はっきりとその希望を医師に伝えましょう。
そこで答えを曖昧にされたり、逆に特に理由もいわず『それはできない』と返されるようなら、他の病院へかかることを考えたほうがいいかもしれません。

薬は適切に使えば薬となりますが、場合によっては毒にもなります。
そのことを常に頭の片隅に置いておき、処方が適切かどうか、患者自身も改めて考えることが必要と言えますね。