うつ病

うつにならない心を育てるために……「自己肯定感」を養おう!

自己否定……うつ病や、うつになりやすい傾向にある人に見られる大きな特徴です。「私なんかがいたって」「私は何の役にも立たないし」そんな風に自分の存在や能力を否定し、落ち込んでしまう。そんな心を克服するにはどうしたら良いのでしょうか。

何故「自己否定」をしてしまうのか

極端な自己否定をする人は、何故そのような状態に陥ってしまったのでしょう。人は初めから「どうせ私なんて……」と思うわけではありません。自分に否定的な考え方が本能として備わっていると、生き物として生きていけません。自己否定をする考え方は、幼い頃、家族や周囲の環境から植えつけられたもののことが多いようです。

人は意外と、自分自身のことについてわからないもの。特に自我がはっきり確立していない幼少期などは、周囲が自分にどのように関わるかで自分の価値を決めがちなところがあります。周囲に「あなたはいい子」などと褒められる体験が多ければ、自分に対して肯定的な考えの土台ができますし、逆に「おまえは何をやってもだめな子」と否定されてばかりでは、「自分はだめなんだ」と思い、認められようと必死に相手の気に入るいい子であろうとします。そのような幼少期の環境が、考え方の歪みを生み出し、自己否定ばかりしてしまう考え方のくせをつけてしまうのです。

自己否定する人に「自信のある人についてどう思うか」と聞いてみると、「どうしてあんなに自信満々なのかわからない」と返ってくることが多々あるかと思います。自己否定する人にとって、自信や自己肯定などのプラスの心の要因は「条件つきのもの」であることが多いのです。

自己肯定感ってどんなもの?

自己肯定感とは、簡単に言うと「私には価値がある」という自分の存在を肯定する考え方です。随分大げさに感じますが、人が本来無意識に持っているもので、だからこそ生きようという意欲も沸いてきます。自分が大事だから、自分は価値のある人間だから生きていようという本能が働くわけです。

自己否定ばかりする人は、この「自己肯定感」が足りない、もしくは持っていないため、自分は無価値でだめな人間だと思い込み、生きる意欲を失ってしまいます。

他人基準の自己評価をやめよう

自己否定ばかりする人は、ストレスを蓄積しやすくうつ病にもなりやすいと言えます。うつにならない心を育てるためには、自分の存在を肯定する「自己肯定感」を養うことがとても大切です。

幼い頃の自己肯定感は、周囲に褒められたりプラスの言葉を投げかけられることで成長していきますが、周囲にそれを望むのは自己否定の心が育ってしまった環境では難しいこと。まずは自分の価値を周囲の言動で決めることをやめにしましょう。テストの点数や業務成績があなたという「人の価値」を決めるのではありません。周囲の人の言葉がイコールあなたの人間性の全てではありません。そこを理解することは重要なことです。

自己否定する人は周囲の目に非常に敏感です。誰かと比べて、または人の評価に基づいて「どうせ自分は」と考えてしまいがちで、それを捨てることは困難かもしれません。焦らず時間をかけながら、「この人の評価は自分の一部分だけに基づくものだ」と考えを切り替えていきましょう。

自分で自分を認める

次に必要なのは、「自分のことを認める」行為です。日常の小さなことから自分を肯定し、認めてあげることを始めましょう。それは人が当たり前にやっている些細なことですが、自己否定の強い人にはなかなかできないこと。好きなものは好き、嫌なものは嫌と言う。欲しいものを欲しいと望む。自分がやりたいと思ったことをやる。少しずつでも構わないので、繰り返すことが大切です。

自己否定する人は自分の心をうまく外に向かって表現できません。そんなことをすると周囲に嫌われるとか、誰かを不愉快にさせてしまう、そんな思いを持っているからです。嫌なことを嫌と言えず、やりたいこともがまんしてできない、そんな人がたくさんいます。「本当は嫌な自分」を嫌なままでいいと肯定できないからうまく言えない、そんな状態なのです。そのように抑圧された状態では、ストレスは溜まっていく一方。素の自分を受け入れ、心のままに生を実践していくことで、自己肯定感は養われていきます。

うつの元をまず作らない!ストレスを溜めない仕事のしかた

うつ病の原因としてよく挙げられ、実際問題にもなっている「仕事のストレス」。全くストレスなく仕事をするのは難しいでしょうが、できたら少なく済ませておきたいもの。普段からの心がけで、心の負担を軽くしておきましょう。

オンオフのスイッチはきっちりと

よく言われることですが、実践するのはなかなか難しいのが「オンオフの切り替え」です。ですがこれはストレスを溜めないために大変重要なことで、できるだけ心がけておきたいもの。

頑張ることは良いことですが、常に仕事のことを考えているのでは、頭が休まる暇がありません。脳の疲れは心の疲れ。仕事のことが常に頭のどこかにあるということは、休みなくストレスに晒されているのと同じです。まずは勤務時間と休憩時間のオンオフをしっかりと。忙しくても食事は取り、10分でも休憩を取ることで脳をリフレッシュさせるのです。その間、できるだけ仕事のことは考えないようにしましょう。「休憩が終わったらあの仕事をやって……」なんてこと、つい考えていませんか?

仕事を終える時も同じことが言えます。今日一日の仕事を振り返るのは職場にいる間にやっておきましょう。自宅に帰ってから考えてしまうと、そのまま頭が仕事脳に移行してしまい、せっかくの自宅での時間がストレスフルになってしまいます。特に翌日、クレーム処理や今日の分の埋め合わせなどが待っている場合、憂鬱な気持ちになって職場に行きたくない気持ちが生まれ、それが続くと職場が嫌な場所のように思えてくることもあり得ます。

休日は仕事のことは完全に忘れて自分の好きなことを楽しみましょう。責任感の強い人などは「ああ、あの仕事はどうなってるだろうか」などと気にしてしまうことが多々あるでしょうが、休日は心も体もリフレッシュさせるためのもの。きっちりとスイッチを切り替えて溜まったストレスを吐き出し、心を軽くして仕事に臨むようにしましょう。

スケジュールは書き出し臨機応変に

やるべき仕事が多すぎると、何を優先していいのかパニックになってしまうのはよくあること。ですがそのような状況は、心に不安と焦りを生み、大きな負担となってしまいます。パニックを防ぐために「今日やるべき仕事」「明日やること」「今週中にやること」などと項目を分け、一目でわかるよう一覧に書き出しておくことをお勧めします。人と会う予定などがある時は、共に時間も書き出しておくとダブルブッキングなどを防ぐこともできます。

急ぎの仕事が二本ほど入っても大丈夫な程度の余裕を持って、計画を立てることも大事です。急ぎの仕事が入ることで「今日やるべきこと」のルールが崩れ、明日になだれ込んでしまっては、「明日大丈夫かな」と不安を生んでしまいます。スケジュールは余裕を持って立て、臨機応変に。

一つの仕事を「極めて」成功体験を重ねる

あれこもれも、なんでも仕事のできる人……確かに憧れではあります。ですが自分の許容範囲外にまで手を伸ばしてしまうと、容量オーバーでいつかは破裂してしまうもの。また、なんでもできるということは、言い方はよくないですが職場内の「便利屋」になってしまいがちで、余計なストレスを溜めやすくなってしまいます。そんなストレス笑って受け流せる人なら大丈夫ですが、些細なことも気にしてしまう人がそのような立場になると、あれもこれも抱え込んで思い悩み、結果うつになってしまうことも大いにありえます。

うつになりやすいような完璧主義だったり、自己主張がうまくできない、他人の顔色を伺ってしまうような人は、あれこれ手を出さずに一つの仕事を着実に極め、「できた」という体験を重ねることで小さな自信を積み重ねていくほうがいいと言えます。多くを抱えた結果「できなかった」という喪失体験は、自信を失わせ、自分の存在意義を見失ってしまうことにも繋がりかねません。

もちろん、職種によっては一種類の仕事を延々やっておくだけ、というわけにはいかないでしょう。ですがそんな中でも「これだけは自分はできる」と自信を持って言えることを作っておくことは大事です。書類整理でも、些細なことでも構いません。「できる」「できた」という自信が、明日への原動力となるのです。

うつ病治療の基本はこれ!欠かせない治療の「三本柱」って?

うつ病を治すためにはまず休養、と言われますが、ただ休んでいるだけでよくなるわけではありません。休養のほかに行われるべき三つの大きな「治療の柱」があるのです。では、その三つの柱ってどんなものなのでしょうか。

その1・投薬

うつの治療として欠かせないのが投薬治療です。うつ病になると、セロトニン、アドレナリン、ノルアドレナリンなど、脳の神経伝達物質が減少し、ストレスを溜めやすくなったり意欲がなくなったりします。それを薬で補うのが投薬治療です。投薬治療はほとんどの心療内科、精神科でうつ病の治療として行われています。

投薬の注意点として、医師の指示に必ず従うことがまず上げられます。また、抗うつ剤など治療に使われる薬は、飲み始めてから効果が現れ始めるまでに二週間から一ヶ月ほどかかるため、飲んですぐ効果がないからといって勝手に投薬を止めないようにしましょう。これはうつ病の治りかけの時にも言えること。「もう治ったから」「大丈夫だから」と医師に相談なく勝手に薬を止めてしまうと、せっかく治りかけたうつの症状が再燃してしまったり、場合によっては薬を急に止めたことによる副作用が起きてしまうこともあります。

投薬には副作用がつきものです。これはどの薬を飲んでも起こりえることで、うつ病だからといって構える必要はありませんが、服薬を始めてから体調に異変を感じた時は、すぐ医師に相談するようにしましょう。うつ病の薬は合う合わないの個人差が大きいため、別の薬を試すなどの対処が必要です。

その2・考え方の矯正

投薬と違ってあまり注目されませんが、大変重要なのがこの「考え方の矯正」です。うつ病にかかりやすい人は、共通する「考え方の癖」のようなものを持っています。様々な出来事を悲観的に捉えてしまったり、無関係なことを自分に関連づけて自分のせいだと思い込んだり……このような考え方の癖を「認知の歪み」といいますが、これは薬では治りません。十分なカウンセリングや、認知療法、精神療法などといった治療を受け、改善していく必要があります。

たとえ一度うつ病が治ったとしても、この「認知の歪み」がある限り、うつ病を非常に再発しやすいのが現状です。同じ出来事を体験してもうつになる人、ならない人がいるのは明らかですが、認知の歪みのあるなしに左右されるからです。

「考え方を矯正する」と言われると、今までの自分が間違った生き方をしてきたような、自分を否定されるような気持ちになるかもしれません。ですが、何もあなたの人格そのものを否定しているのではなく、「もう少し生きやすいように考え方の癖をつけよう」という治療です。少しでも楽に生きられるように、うつを再発しにくいように、この考え方の矯正はとても重要な治療なのです。

その3・ストレスの除去

たとえうつ病が治っても、また以前と同じストレス環境に身を置いてしまっては、いつかまた耐え切れなくなってうつを再発しかねません。また、そのようなストレス環境に復帰することが新たなストレスとなり、回復に向かったうつが再燃してしまうこともあり得ます。うつの原因になったと思われるストレスを除去し、復帰しやすい環境を作ることも、うつ病の治療の上で非常に大切なことです。

仕事、人間関係、家族問題……うつになったきっかけとなるものは様々でしょうが、それぞれに合ったストレス対策を考えなければなりません。除けるストレス原因は取り除き、変えられないものはよりストレスを感じにくくするための工夫が必要です。

また、患者自身がストレスを上手に発散する方法を身につけることも必要と言えます。軽い運動をしたり打ち込める趣味を見つける、十分に睡眠を取って太陽の光をきちんと浴び、生活習慣を改善するなど、ストレスを溜め込まない工夫です。動けないほど辛い時期にこれらを行うのは逆によくないですが、うつがだいぶ回復し、そろそろ社会復帰をと考えた時には必ず必要となってくるステップです。

うつの治療で気をつけるべきこと

これらの治療を行う際に気をつけたいのは、「無理をしない」こと。うつからの回復は不調の波を繰り返し、一進一退するもの。患者自身の体調や心の状態と相談しながら、無理のない範囲での治療や行動を心がけましょう。無理をすると再燃することもあるので注意が必要です。

認知症と思ったらうつだった!?老人性うつ病を知ろう

加齢は、人の体に様々な影響を及ぼします。手足や腰など身体機能の衰えはもちろん、物忘れなども発生します。加齢による病的な物忘れが発生した場合、多くの人がそこでまず疑うのは「認知症」でしょう。ですがその判断、ちょっと待ってください。「老人性うつ病」をあなたはご存知でしょうか。

意外と多い高齢者のストレス

仕事や子育てからも引退し、悠々自適に暮らしているように感じられる高齢者ですが、若い人にはないたくさんのストレスを抱えています。まず上げられるのが加齢による病気や身体の衰えです。思うように体が動かせない、動かすたびに痛みがある、薬を手放せない持病を抱えるなどといった健康の障壁は、体への負担だけでなく重大なストレスとなって心にも影響を及ぼします。心は若くあったとしても、体まではなかなかそうはいきません。

また、自分が年を重ねるごとに周囲の人も当然年を取っていくわけで、その先には「死別」という現実もあります。若い頃から親しくしていた友人や長年連れ添った伴侶との突然の別れは、深い喪失感と悲しみ、次は自分かもしれないという不安を生みます。人の死は、高齢になってもなかなか簡単に割り切ることはできません。

定年による退職、または子育てからの引退も実はストレスを生み出すきっかけとなります。それまで必要とされていた自分の存在の置き所を見失い、突然すべきことを失って呆然としてしまい、不安に陥る。特にそれまで趣味も持たず、ひたすら仕事や子育てに専念してきたような人はそんな不安を抱えやすいのです。

老人性うつ病の特徴

老人性うつ病は、気分の落ち込みなど一般的なうつ病の特徴はもちろん、その中でも一部の症状が特に顕著に現れることがあります。まず上げられるのが「健忘」と呼ばれる物忘れ。さらにぼんやりしていることが増え、それらの症状が認知症に大変似ているため、認知症との区別が非常につきにくいのも特徴です。また、頭痛など身体的な症状を多く訴え、薬による副作用が強めなのも老人性うつ病の特徴と言えるでしょう。

認知症と間違われやすい老人性うつ病ですが、無気力になる、死を望む、これまで好きだったものに興味が持てないなどのうつ病の症状も現れるため、日頃から高齢者とコミュニケーションを取りその変化に敏感でいることが大切です。

老人性うつ病患者へのサポート

老人性うつ病の患者には、服薬やストレス解消などの面でサポートが必要といえます。何しろ物忘れの症状が強く出るため、服薬治療の際に薬の管理が本人だけでは困難なことが多いのです。また高齢になるとうつ病だけでなく、さまざまな体の病気を併発することも考えられ、それらの薬との飲み合わせも考慮すると服薬管理の手助けは非常に重要です。

さらに、布団にこもりきりになるとそのまま寝たきりになってしまうことも大いに考えられるため、できるだけ布団から身を起こすよう促すなどの声掛けも大切です。高齢者は孤独を抱えがちなので、話し相手になるだけでもかなり違います。

リハビリとしての散歩など外出の際は付き添いをしたり、布団から起き上がれない時はせめてカーテンと窓を開け、外の光と風を部屋に入れるなどのサポートも必要となってくるでしょう。

老人性うつ病にならないためには

では老人性うつ病を防ぐためには何を心がけたら良いのでしょうか。まずは、高齢者を孤独にしないこと。近しい人との死別や子育ての終了、退職などで大変孤独を抱えやすい状況にある高齢者は、その孤独から不安などマイナスな方向に心が傾いていくことがあります。できるだけ会話をし、食卓を共にするなどして、その孤独感を少しでも拭うことが老人性うつ病を防ぐ第一歩です。

高齢者とよく接するようにしておけば、些細な変化も見落とすことなく気がつくこともできるでしょう。老人性うつ病はできるだけ早く専門医の診断を受けることが望まれますが、先に述べたようにその診断は非常に困難です。家族の日頃の観察が病気を診断するための重要な材料となることだってあるのです。

また、園芸や散歩など共に趣味を楽しむ、家庭の中で負担にならない仕事を任せるなど、人生の楽しみを共有したり目的や役割を持ってもらうことで、自分の存在意義や生きる楽しみを感じてもらうことも、老人性うつ病を防ぐ上で大切な一歩となるでしょう。

食べたくないからこそ気をつけたい!うつ病患者の食事のしかた

うつ病にかかると食欲がなくなるのはよくあること。また、逆に食べ過ぎてしまう過食に苦しむ方もいます。そんなうつ病の患者さんだからこそ、適切に食事をするために工夫が必要です。では、具体的にどんな工夫が必要なのでしょう?

うつ病にかかると身体機能が低下することを知っておこう

うつ病は心が弱るだけでなく、身体も弱ってしまう病気です。癒しの脳内物質セロトニンの減少を始め、頭痛やめまいなどの身体症状を引き起こし、体の全体的な機能も落ちてしまいます。もちろん、胃腸の機能も落ちることが多く、下痢や便秘を引き起こしやすい状態になっています。うつ病になってしまったら、まずそのことを知っておきましょう。悪いものを食べたわけではないのに下痢をした……なんて時は、うつのせいで胃腸の働きが悪くなっているのかもしれません。もちろん、全てをうつのせいにせず、不調があまりに長引くときは通常の内科を受診することも視野に入れましょう。

うつで食欲がなくなる人が気をつけたいこと

うつ病で食欲不振になる、空腹にすらならない人は、まず規則正しい時間に三食きちんと食べることを心がけましょう。食べたくないからと食事を決まった時間にとらず、ばらばらな時間に少しだけ……といった食べ方をしていると、弱っている胃腸をますます弱らせてしまうことになります。

いつ食べ物が入ってくるかわからない状態では、体は一時的に飢餓状態になりわずかな栄養をより蓄えようとして太りやすくなり、最初のうちは体重が落ちていっても後で体重のコントロールがめちゃくちゃになる怖さも秘めています。欲しくなくても少量でも構いません、三食きちんと食べることは、私たちが考える以上に大切なことなのです。

さらに、食事の内容にも気をつけたいもの。食欲がない時はどうにか食べても量は食べられないですよね。そんな時はできるだけ高栄養のものを少量ずつ食べるようにすると良いでしょう。「食べきれないからおかゆだけ……」なんて内容を続けては、栄養失調になってしまいます。量を食べきれない時は、牛乳やバナナなど、少量でも高い栄養を取れるものを積極的に食べるよう心がけるのが良いでしょう。

うつで食べ過ぎてしまう人が気をつけたいこと

逆に、うつ病になってストレスから過食に走ったり、薬の副作用で食欲が異様に刺激され食べ過ぎてしまう人もいます。そんな人は一度に大量に食べるのではなく、少量を何度も小分けにして食べるよう、気をつけてみて下さい。一度にドカ食いするよりも、少しの量をちょこちょこ食べたほうが体に太りにくいと言われており、またトータルでの満足感もより得やすいかと思います。常に胃を動かすことになってしまいがちなのでどうしても体に負担はかかりますが、ドカ食いして一度に大量の食べ物を胃に押し込むよりは、少量ずつのほうが体への負担もより少なくすむと言えるでしょう。

また、過食に陥った時は甘いものや味の濃いものを食べてしまいがちですが、できるだけそのようなものは避け、野菜などのローカロリーなものにしておいたほうがいいでしょう。甘いものの取りすぎは糖尿病の、味の濃いものは塩分の過剰摂取で高血圧の危険性があります。どちらも悪化すれば命に関わる病気ですし、一度かかれば一生食事制限や投薬などの負担を抱えることにもなります。うつ病の治療をしながらこれらの病気も治療していくことは、大変つらいものです。

うつの人が取っておきたい食べ物とは

うつ病の原因のひとつとして、脳内物質のセロトニンが極端に減少することが上げられています。セロトニンは体内で作られる物質で食べ物からの摂取ができませんが、その材料となる食べ物は、うつ病の人は是非積極的に食べておきたいもの。

先にあげた牛乳とバナナはうつによい食品として知られていますが、この二つはセロトニンを作るために必要な「トリプトファン」という物質と、ビタミンB6を補うのに大変適しているからです。他にも赤身の魚や乳製品、大豆製品などが挙げられ、普段からこれらの食材を取り入れた食生活を心がけることで、セロトニンの分泌量を増やしていきましょう。

体の不調が心の不調へ~うつ病を引き起こしやすい身体疾患

よく知られた言葉に『病は気から』というものがあります。
体と心の健康には密接な繋がりがあると、昔から考えられていたのでしょうね。
実を言うとうつ病には『気は病から』とでも言うような、身体疾患から引き起こされるものもあるんです。

(病気は何より重いストレス!)
もしもあなたが、今後一生治療を続けなくてはならない病気にかかったとしたらどうでしょう。
仕事は? 医療費は? 何よりこれからずっと病院に通い続け、治るあてのない病気と付き合い、薬を飲み続けなければならない……そんなことになったらひどく重圧を感じるでしょうし、苦痛にも思うでしょう。
病気というのはそれだけで、人の心に翳りを落とすもの。
治療をするにも身体的な苦痛を伴うものが多く、例えば血液検査ひとつとっても痛い思いをしなくてはなりません。
それがずっと続くとなれば、心は重く、次第にネガティブに傾いていくことだってあるのです。
体の病気を治療している患者の心をプラスに維持し、うつにならないようケアすることは非常に大切なことです。

(うつ病になりやすい体の病気)
病気はそれだけで十分に重いストレスとなり得ますが、とくにうつ病になりやすいものがいくつか確認されています。
がん、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの脳血管障害など、一生治療が必要だったり命に関わるような重い病気が主なものです。
がんは早期発見し早い段階で手術すれば治る病気ではありますが、再発の恐れがあったり発見が遅れたりすることも多く、また治療にも大変な苦痛を伴うもの。
金銭的な不安や抗がん剤の副作用への不安など、患者の心にかかるストレスは相当なものと言えます。
特に末期がんのような重篤な場合、死と向かい合う現実は想像を絶するほどに辛いことでしょう。
がん患者の心のケアは治療の中でも重要な課題と言えます。
糖尿病の場合は『一生付き合う病気』である重圧とは別に、インスリンの分泌に異常が発生していることも原因ではないかとされています。
糖尿病の人は血糖値のコントロールが命に関わってきますが、糖尿病患者がうつになると無気力状態に陥ることで、その管理が非常に難しくなってしまうことが多々あります。
うつ病になると体が重くなり、寝たきりになることはよくあることですが、定期的な注射やきっちりとした食事管理などが必要な糖尿病患者にとって、それは死活問題となります。
心筋梗塞はいつ起こるのか予想できない発作の不安を常に抱え、脳卒中などは後遺症として残った麻痺や言語障害などに絶望を感じ、いずれもうつに陥ってしまうことが多くあるのです。
またその他にもパーキンソン病やてんかん、HIV感染なども、うつ病を引き起こす人が多いと言われています。

(身体疾患の薬がうつを引き起こすこともある)
身体疾患の治療のために服用している薬の副作用としてうつ病のような症状が引き起こされることもあります。
薬によって引き起こされるうつ病を『薬剤惹起性うつ病』と呼び、血圧を下げるための降圧剤の一部や、ステロイド剤などが原因薬として該当します。
中でもよく知られているのが『インターフェロン』という、ウイルス性肝炎の治療に使われる薬で、うつを引き起こす確率が非常に高いと言われています。
これらの薬を服用する時は、心の状態に変化はないか、不眠などの症状は出ていないかなど患者の様子を注意深く観察して、異変があればすぐ医師に相談する体制を整えておきたいものです。

(身体疾患の人がうつ病になった時の弊害)
身体疾患を抱える人がうつ病になった場合、どのような困った事態になるのでしょうか。
まず、生きたいという気力が低下し治療に対して後ろ向きになってしまう点があります。
意欲的に治療に取り組むことができず、病状がどんどん悪化していくことも。そのせいで治療が長引き、余計負担がかかってしまうことだってあります。
また、うつ病になると不眠や食欲不振などの身体症状も伴います。
ただでさえ体の病気で辛いのに、そこにうつ病の症状が重く圧し掛かり、患者は二重の苦しみを味わうことになります。
うつ病の身体症状のせいで十分睡眠が取れなかったり、食事の量が減ったりすることでも、症状がよくない方向へ行ってしまう可能性も非常に高いです。
体と心、どちらにも病気を抱えてしまう苦しさは当人にしかわかりませんが、それをいかに軽減していくか、また薬が原因である場合は速やかに服薬の内容を見直すなど、迅速な対処が必要と言えるでしょう。

認知のゆがみって?うつ病の人が抱えやすい思考の7パターン

うつ病の人は『認知のゆがみ』と呼ばれる思考パターンのゆがみにより、悲観的になりがちです。
ですが『認知のゆがみ』と言われても、具体的に今ひとつピンとこない人が多いと思います。
認知のゆがみにはいくつかの思考パターンがあり、人によってどのパターンに当てはまるのかは違います。
その中でもうつ病の人が陥りやすい認知のゆがみのパターンというものがあります。

(その1、極端な一般化)
よくないことがたった一度起きただけで、何もかもがこうだと思い込んでしまう思考パターンです。
例えば一度就職に失敗しただけで『自分はこの先何の仕事もできない』、一度ふられただけで『もう一生結婚できない』などと考えてしまうような場合です。
これが繰り返されると何度も何度も嫌なことが起きているように感じ、どんどん憂鬱になっていきます。

(その2、恣意的推論)
特にはっきりした根拠もないのに物事を悲観的にばかり決め付けてしまうことを『恣意的推論』といいます。
一緒に遊んでいる友人が隣であくびをしただけで『楽しくないんだ』と考えてしまうケースで、うつ病の人には大変よく見られるパターンです。
友人は前日あまり寝ていなかったのかもしれないし、もしかするとただ遊び疲れてなんとなくあくびが出てしまっただけかもしれないのに、悲観的にとらえてあくびイコール楽しくないと決め付けてしまっているのです。
しかもその決め付けに裏付けできる根拠はありません。

(その3、二分割思考)
ゼロか100か、白か黒かといった両極端な考えをしてしまう『二分割思考』というものもあります。
100のうち一つでもだめな部分があればそれはもう全部失敗、と判断してしまうような、いわゆる病的な完璧主義です。
物事はそう簡単に何でも白黒つけられるものではなく、中間の考えや評価もあるのに、二分割思考の人にはそれがないのです。
毎回テストで100点を取っていた子がたまたま70点だっただけで『自分は駄目な人間だ』と思ってしまうのがこのパターンですね。
実はこの考え方は、普段はそうでなくてもストレスがかかってくると誰でも陥りやすいもの。
ストレスが溜まってイライラしている時などは、考え方が両極端になっていないか、冷静になる必要がありますね。

(その4、自己関連付け)
何かよくないことが起こった時、特に自分に責任がないことでも『私のせいだ』と罪悪感を感じてしまうパターンです。
待ち合わせで友人が遅刻した時に『もっと友達の都合を考えて時間を決められないなんて、私はだめな友人だ』と思ったり、母親が病気になった時に『私がお母さんの言うことをもっと聞いていれば病気にならなかっただろうに』と思うような場合です。
悪いことになんでもかんでも自分を関連づけてしまうので、心の中にどんどん言い知れぬ罪悪感が溜まり、最終的に『私はいないほうがいい』などと極端な考えに走ってしまうこともあります。

(その5、選択的抽出)
自分が気になることしか目に入らず、それだけを判断材料に結果を急いでしまう『選択的抽出』もよくあるパターンです。
例えば『Aさんは私のことが嫌いなんだ』という思い込みがあったとします。
そうするとその思い込みの部分だけしか見えなくなり、Aさんがイライラしていたり不機嫌そうにしている部分にばかり注目して『やっぱりAさんは私が嫌いだ』と考えてしまうような場合です。
たとえAさんに気遣われたり優しく接される時があっても『嫌いなんだ』という元々の思い込みでそれが見えなくなっているのです。

(その6、拡大視・縮小視)
自己評価が極端に低いのに、他人のことは過大評価しがちな思考パターンもあります。
『拡大視・縮小視』といって、自分の欠点を大げさに捉えすぎて長所が極端に矮小化されたり、そのくせ他人の失敗や欠点には異常に寛大で、過大評価しているような状態です。
『私はのろまで何をやっても失敗するし会話もうまくないしだめな人間だ、その点Aさんは優しくて素晴らしい人』といった考えです。
自分の欠点と他人の長所はたくさんあげられるのに、自分の長所や他人の欠点は目に付きにくいのです。
自己評価が低いと自尊心がどんどん失われ、何をするにも自信がなくて臆病になってしまいます。

(その7、情緒的理由付け)
自分の感情が、物事が発生する理由や証明になるかのような考え方。
『こんなに怖いんだから、飛行機に乗るのは危険に違いない』『これほど不安なのだから、この仕事は間違いなく失敗してしまう』などといった感じです。
たとえ一人がそう感じたからといって、必ずしもそうであると決まっているわけではないのに、自分の感情に捕らわれて一方的な見方しかできなくなっているのです。

(認知のゆがみを知ることは自分自身を知ることになる)
自分が抱える認知のゆがみのパターンを知ることは、自分自身の心を深く知ることに繋がります。
また、それを知ることでそのゆがみを改善するための足がかりをつくることができます。
認知のゆがみそのものに、人はなかなか気がつきにくいもの。何故なら心の奥深い部分に、その考え方が『当たり前』のものとして染み付いているからです。
あなたは、考え方のパターンに捕らわれ、ネガティブになっていませんか?
一度自分の心と距離を置いて、見つめなおしてみるのもいいかもしれません。

うつになりやすい考え方の癖から変える!認知療法ってどんなもの?

うつ病になりやすい人、またうつ病の患者は、何事も物事を悲観的に捉えがちな傾向にあります。
しかもそのことに自分で気が付いていないことが多く、訳もなく悲しくなったり些細なことが重大な悲劇のように感じられて、『どうして……』とひたすら自分を責めてしまうこともよくあること。
そのような悲観的な考え方を変える方法というのは、ないのでしょうか。

(人はみんな一人ひとり違った眼鏡で世界を見ている)
AさんとBさんが、全く同じ体験をしたとします。そこで二人が持つ感想が全く同じものになるかと言えば、そうだとは限りません。
場合によっては似たような、もしくは全く違った感想を持つことだってあります。
当たり前すぎて普段は忘れがちなのですが、人はみんなそれぞれが違う眼鏡を通して世界を見ているのです。
だからこそ考え方や受け止め方の違いがあり、個性もあるわけです。
個人個人の眼鏡を通して世界を見ることを、心理学上では『認知』と呼びますが、うつ病の人はその『認知』が悲観的に歪んでしまっている状態。
そこを改善すれば、今現在のうつ病の治療にも効果がありますし、特にうつ病の再発抑制につながることでしょう。

(自分の心を客観的に見直すことでゆがみに気付く『認知療法』)
人は誰でも生きていくうちに様々な困難にぶつかりますが、その時にどう行動するかは自分の心にある判断基準が決めること。
ですがその判断基準である、物事を受け止める心がマイナス方向に偏っていると、どうしてもマイナス方向に歪んだ思考になってしまい、結果悲観的になるわけです。
それを見つめなおし、できるだけプラスの方向に修正していくのが『認知療法』と呼ばれる心理療法の一種です。
簡単に言うと、『うつになりやすい考え方を改善しましょう』という治療法です。
認知のゆがみといっても、決して患者の人格や生き方を全否定するわけではなく、考え方の軸が自分を辛くするほうにずれているから、もう少し楽になれるほうにずらしていきましょう、というだけのこと。
体だって、例えば背骨が歪んでいればあちこちによくない影響を及ぼします。それを整体などでまっすぐにするようなものだと受け止めてもらえればいいと思います。

(認知療法ってどんなことをするの?)
認知療法では、まず自分の考え方のパターンを知ることが必要になってきます。
日常暮らしていて様々な出来事に出会った時に浮かんでくる、個人個人の独自の考えを『自動思考』と呼びますが、まずはその自動思考を上げていき、そこにどのような『認知のゆがみ』が存在するかを詳しく分析していきます。
『自動思考』は日常の中であなたにとって当たり前の考えで、特に深く意識したり心に留めているわけではないので、はじめのうちは上げていくのが難しいかもしれません。
できれば、日常の中で何か起こった時に自分はどう思ったのか、簡単なメモに残すなどしておくと、進めやすくなります。
メモを残すときは『いつ、どんなことが起きたのか』『その時どんな状況だったのか』『どんな感じがしたのか』『どんな考えが心に浮かんだのか』の四点を残しておくといいでしょう。
『どんな感じがしたのか』については、例えばその状況にイライラした、悲しくなった、など感じた感情について残し、『どんな考えが心に浮かんだのか』はより具体的な考えを書いていくといいでしょう。
『昨夜、手が滑って布団にコーヒーをこぼした』ということが起こり、『家族に呼ばれて焦っていた』状況で、『イライラした』と感じ、『こんな初歩的なミスをするなんて自分はなんてバカなんだ』と思った、などといった具合です。
ここから『何故家族に呼ばれて焦ったのか』『初歩的なミスをするのはバカなことなのか』などと、エピソードをより深く掘り下げて認知のゆがみを見つけていくのです。
自分で認知療法のできる本などもありますが、認知療法は心の奥深くに抱えた闇の部分まで探っていくことになるので、病気の人が自己判断でやっているとやり方を間違い、余計不安になってしまうこともあります。
本などを参考にしてやる場合も、医師やカウンセラーなど専門のスタッフの指導のもと、確実に少しずつやっていくことが大切です。

(認知療法はある程度心が回復してから)
認知療法を行う時は、うつ病がある程度回復し、社会復帰に向けたリハビリの段階で行っていくことが大事です。
というのも自分の思考を振り返って見つめなおす作業は、心が弱っている時には相当の負担となるからです。
また、認知療法の過程で思わぬ自分の心の闇に触れることだってあり得ます。
人と口をきくのもつらいような状態で、心の中を掘り返すようなことをしては、ただただ疲れるばかり。何事にも向いている時期というものがありますが、認知療法は特に行う時期を選んだほうがよいと言えます。
とはいえある程度意欲が回復し、患者本人に治りたいという意思が強くあるのであれば、認知療法は大変有効な治療法。
しかし中には向かない人もいるので、そのあたりは医師としっかり話をしながら治療の選択をしていきましょう。

うつの理由は心の中に?考え方の『癖』がうつを連れてくる

家族の問題、会社の問題、頑張りすぎ……うつ病の原因としては様々なものが挙げられます。
ここでひとつ注目したいのは、それらの原因がたとえあったとしても、誰もがうつ病になるわけではないという点です。
うつ病になる人は、ならない人と何が違っているのでしょうか?

(とてもやっかいな『考え方の癖』)
人はそれぞれ、生まれ育った環境などで培われた『考え方の癖』というものを持っています。
それは自分でも無意識の部分が多いのですが、例えば同じ事柄を前にした時でも『よし頑張ろう』と思える人もいれば、『失敗したらどうしよう……』と思ってしまう人がいる、この時の前向きさと後ろ向きさが該当します。
この考え方の癖は、自分でも気付かないうちに身についていることが多いので、それに気が付くことは大変難しいのです。
ですがそのことに気がつくかどうかで、うつ病の治療は大きく明暗が分かれると言ってもいいでしょう。
『自分は物事を何でも後ろ向きに捉えてしまいがち』『どうしても悪い方に考えてしまうけど、実際はそんなに悪いことは起こらないんだ』そのような気付きは、マイナス思考に偏りがちな『考え方の癖』を改善するために非常に重要です。
自分の考え方のまずい部分を知ることができれば、相応の治療でそこを変えていけば良いわけですが、自分の思考のパターンを把握できていなければ何をどう変えていいのかすらわかりません。
まず、自分の考え方の癖を知ることがうつ病治療にはとても必要なことと言えます。

(考え方の『癖』を変えるのは並大抵のことではない)
自分の歪んだ判断基準に気がついてそれを修正できるかはその人次第ですが、それは並大抵のことではありません。
まず『自分の考え方がおかしい』と気がつくことそのものが難しいのです。
仮に気がついたとしても、それをプラスの方向に修正していくのは大変時間と根気が必要な作業ですし、一人でやろうとするのは困難です。
人は思ったより自分自身のことを客観的に見ることができないもの。
特に長年染み付いた考え方の是非などは、自分ではそれが当たり前と思っているわけですから、どの部分をどう修正していくべきなのか、自分では判断出来かねるところも多いのです。
医師や専門家などの手を借りて、少しずつ行っていくのがよいでしょう。

(一歩止まって別の考え方がないか自分に問いかける)
何かと後ろ向きな考え方をしがちな人は、落ち込む前に立ち止まって、『もっと別の考え方はないだろうか』と思い返してみましょう。
自分一人の判断基準では具体的な他の考え方を導くのは難しいでしょうから、例えば身近な人たちを想像して、『こんな時Aさんならどうするだろう』『Bさんはこんなふうに考えるのでは?』などと、他人目線の基準から見つめなおしてみると良いかと思います。
実際に聞くことができるのなら、『こういうことがあったとき、あなたならどう思う?』と聞いてみるのもいいかもしれません。
その考えはあくまでも参考意見ですから、相手の意見を聞いて『どうして自分はこんな風にしか思えないんだろう……やっぱり自分はだめな人間だ』などと不必要に落ち込まないこと。
ですが『どうして』と疑問を持つことは決して悪いことではありません。
そこから自分の考え方の基準を作ったものを探っていくことができるからです。
気持ちが落ちている時は非常に難しいことですが、自分の心と一旦距離を置いて、外側から眺めてみることも大切なことなのです。

(育った環境が『心』をつくる)
ところでこの考え方の癖、いったいどのように身に付いていくのでしょう。
最も大きい要因は、育った環境にあると言っても良いでしょう。
両親からの愛情を一身に受け、褒められて育った人は自信に満ち溢れ、前向きな考え方を自然とすることができます。しかし育児放棄や虐待、過干渉など問題のある育ち方をした人は心にトラウマを抱え、後ろ向きな考え方になりがちなもの。
『大人になってからまで親のせいにするな』と言う人も中にはいますが、大人になってからの判断基準や考え方の基準は、子供の頃に形成されて無意識の部分に定着するので、育った環境の影響は非常に大きいと言えます。
何をやっても褒められず、叱られてばかりだったり『もっと頑張りなさい』としか言われずに育った人は、褒められ方を知らない、自分は努力が足りずに欠落しているなどと自信を持てない大人になります。
『親の言うとおりにしなさい』と過剰に干渉され、親の望みどおりにしないと叱られる環境で育った人は、自分の基準で物事を判断することを恐れ、自信もなく、相手の顔色を伺う大人になります。
虐待とは何も体に傷をつけることだけを指す訳ではありません。相手の心を長期間にわたって傷つけることだって虐待です。
辛い作業ではありますが、あなた自身とこれまでの家族の関係について、改めて振り返ってみてください。
あなたは幼い頃、どのような扱いを受けて成長してきましたか?
そこに、あなたが今抱えている心の問題を引き起こす、歪んだ考え方の『癖』に気が付くヒントがあるかもしれません。

『何もしない』は腐るだけ!耳からの情報で心を優しく刺激する

うつ病になった時、『何もせずに休養することが大事』とはよく言われます。
ですが本当にずっと『何もしない』ままでもいいのでしょうか。
うつ病の回復には段階があり、始めのうちは動けないほど辛いですが、治療によって少しずつ心の状態が回復すれば、それに伴って徐々にできることも増えていきます。
そうなった時にも『何もしない』ままでいると、せっかく回復してきた意欲の火種を消してしまうことにもなります。
うつの回復に合わせて、少しずつ心に刺激を与えていくことだってとても大切なことなんです。

(ただずっと『何もしない』だけでは余計心が腐るだけ)
『寝たきり』という状態は、人の心にどんな影響を与えるのでしょう。
特に何の刺激も受けず、ただ布団の中に篭っているという状態は、確かに体は休まりますが心は必ずしもそうとは限りません。
うつ病の重篤な期間は脳内物質のバランスが狂い、脳そのものが休養を要求するので、黙って寝ていることで心安らかになることはできます。
しかしそれが10回復し、20回復し……といった具合に少しずつ回復してきた時、何の刺激もないまま横たわっていては、せっかく回復してきた心を逆に潰してしまうことがあります。
刺激を受けなければ人の心は動かなくなり、そのままどんどん腐っていってしまうからです。
『インプットとアウトプット』という言葉をご存知でしょうか。
外側から様々なものを取り入れるのがインプット、自分の中にあるものを外に出すのがアウトプットですが、外側からの様々な刺激を受け入れることで心に動きが生まれ、例えば誰かとのおしゃべりなどでいろんなものを外に出せるようになるわけです。
心というのは動かさないと錆付いていってしまうもの。
ただし、うつ病の状態は大変デリケートですので、心に与える刺激の選択は注意深く行う必要があります。

(視覚の刺激は強すぎる)
手っ取り早く情報を入手できるといえばテレビですが、それまで寝たきりだったうつ病患者にいきなりさあテレビを見ろというのはやめたほうが良いでしょう。
というのは、テレビは目で見る画像の情報と耳で聞く音声の情報、二つをいっぺんに受け入れなくてはなりませんが、特に視覚から受ける刺激というのは思いのほか強烈で、より脳が疲れやすいからです。
普段さほど意識しないですが、『目で見る』ということは一度にたくさんの情報を脳に受け入れることになります。
物の色、形、明るさ、動き……それらがいっぺんに脳の中に情報として入ってくるわけですから、脳内物質のバランスが崩れ疲弊しやすいうつ病患者にとって、刺激が強すぎることが多々あります。

(耳から優しく刺激を与える)
うつ病患者にまずおすすめなのは、ラジオや音楽といった耳から得る刺激です。
入ってくる情報を限定的にすることができますし、音声だけの情報なので刺激がより優しくソフトです。
イヤホンをして横になればそれ以外の無駄な音を排除でき、一度に多くの情報が入ると混乱しがちなうつ病患者にとって向いていると言えるでしょう。
黙って聞き流せるラジオや、歌詞の入っていないサウンドトラックなどが向いていますが、自分の好きな音楽でしたらなんでも構わないと思います。
寝たままでも心を優しく刺激できる音楽は、大変お勧めしたいものです。

(音楽で得るインプットとアウトプットで心を動かす)
元気だった頃によく聞いていた、自分の好きな音楽。それらを聞いていると昔を懐かしく思い出したり、つい口ずさんでしまいたくなったりすることもあるでしょう。
音楽を聴くことで、人はとても自然な形でインプットとアウトプットをしています。
それはほどよく心を動かし、よい刺激となります。
特に外出しなくても、横になった布団の中でも、音楽を聴くことで心が刺激され、何の刺激も受けずに腐っていくのを防ぐことができるのです。
うつ病の人が布団から起きられるようになったからといって、さあ今すぐ昔の趣味をまた始めてみましょう、というわけにはいきません。
少しずつ少しずつ、段階を踏んでいくことが大切で、『趣味をしたい』と思える心の状態まで持っていくのに、音楽による心への刺激はよい手助けとなることでしょう。